2020年9月12日土曜日

明治安田生命J1リーグ 第16節 vs. 横浜F・マリノス プレビュー

2020年9月13日 19時00分:日産スタジアム

予想スタメン

明治安田生命J1リーグ 第16節、セレッソ大阪は5連勝を目指し敵地日産スタジアムで昨季のチャンピオンチーム横浜F・マリノスと対戦する。



■現在の横浜F・マリノス

昨季のチャンピオンチームである横浜F・マリノス。
まずはチームのコンセプトについて簡単におさらいしよう。

横浜FMといえば「ハイライン」「アタッキングフットボール」などの言葉がスラスラ出てくるほと特徴的なサッカーをするチームだが、その根本にある考え方は「敵陣でサッカーをしようとする」ということだろう。敵陣でサッカーをすることこそアタッキングフットボールであり、勝利に近づく方法だという考えである。

「サッカーをしよう」ということなので、敵陣で行うのは攻撃はもちろん守備も含めて。
ビルドアップでは敵陣に素早くボールを運び、ボールを奪われるとボールの即時奪回を目指して高い位置からボールを奪いに行く。特徴としてよく言われる「ハイライン」も速く運んで速く奪い返すための手段の1つである。

この「速く運んで速く奪い返す」はスタッツにも顕著に表れている。
横浜FMはボール保持率でリーグトップの60.1%を記録しながらも、攻撃回数(130.5回/試合)、30mライン侵入回数(61.8回/試合)、ペナルティエリア侵入回数(20.4回/試合)と全て1位なのだ。
どちらも攻撃のことについて表していそうなスタッツなので、単に「攻撃がすごい」というだけの印象になってしまうかもしれない「ボール保持率」と「攻撃回数」他だが、これらが共に1位になるというのはそんなによくあることではない。
一般的にボール保持率が高いチームは相手にボールを奪われにくい。ボールを失わないチームである。となると1度の攻撃にかかる時間が増えるため攻撃回数は減る。極端な例を出すと、90分間1度もボールを失わないチームの攻撃回数は前半1回、後半1回の2回にしかならない。
なので、攻撃回数が多いということはボールを奪い返す回数が多い、そしてボールを失う回数も多いということ。つまり横浜FMは速くボールを運ぶのでボールを失う回数も多いが、ボールを奪い返す回数も多い。「ボール保持率」と「攻撃回数」他がどちらも多いのは、そんなコンセプトを象徴する数字なのである。

こうしたコンセプトに基づいて組み立てられたサッカーで昨季はリーグチャンピオンとなった横浜FM。
しかし今季はここまで6勝3分7敗。ACL組なので最も多い16試合を消化しているが、勝ち点21の10位に留まっている。
この6勝を挙げた相手も、湘南、横浜FC、仙台、清水、広島、札幌と下位のチームばかり。9/9終了時点での順位表では自分達(10位)より上位のチームで勝ったのは広島(9位)。
なかなか思うようなシーズンを過ごせていない。

こうなっている要因の1つは両WGのポジションだろう。横浜FMにとってここは個の優位性が必要なポジション。しかし昨季MVPの仲川はコンディション不良で出遅れ、マテウスは名古屋に復帰。さらに遠藤渓太は移籍となった。セレッソから移籍した水沼宏太を起用していた時期もあったが、水沼は個の優位性で勝負するタイプの選手ではない。

そしてもう1つが相手の対策も進んでいる部分だろう。
印象的だったのが開幕戦のG大阪戦だった。
横浜FMのコンセプトは「速く運んで速く奪い返す」。ボールを失う回数も多いがボールを奪い返す回数も多いということを先に書いた。
このボールを奪い返すために行っているのがハイライン。全体のラインを上げることでボールを失ったときでもボールに近い位置に選手がいる。なので即時奪回が出来るのだ。
しかしここでボールを奪い返すことができなければ、ハイラインの背後には広大なスペースがある。ここを使われると一気にピンチになる。
もちろん昨季からこの傾向はあった。そしてここをカバーしていたのがGKの朴一圭とチアゴ・マルティンス。朴一圭のプレーエリアの広さ、前に出る思い切りの良さと、チアゴ・マルティンスの爆発的なスピードでこのエリアをカバーしていた。
しかし今季はチアゴ・マルティンスのコンディション不良に加え、相手が単純に背後を狙うのではなく逆サイドのSBの裏へと対角のボールを多用する様になったのだ。逆サイドへのボールなので手順としては1つ増えることにはなるが、チアゴ・マルティンスが対応すれば彼をサイドに引き出すことも出来る。上手くいけば1手増えた以上のメリットはある。

ただし横浜FMも当然ここまでの2つに関して無策ではない。
1つめの両WGに関しては、仲川が戻ってきたことに合わせて前田大然を獲得。開幕時にレンタルで相模原に行っていたルーキーの松田詠太郎も呼び戻した。
そしてCFではオルンガの影に隠れてしまい柏サポですら「ほとんど見たこと無い」と言っていたジュニオール・サントスもレンタルで獲得した。
3トップで現在の主力といえるのが、仲川とこの新加入選手達。この3トップの下にマルコス・ジュニオールが入る。
ただし、両サイドが仲川と前田という組み合わせになると、共に仕掛けるというよりもスピード系でスプリントを繰り返すことが出来るタイプとなる。なので試合のテンポはさらに上がっている。

そして逆サイドへの対角のボールに関しては、SBが昨季までの様な内側に入る頻度が減ったこととは無関係ではないと思う。
特に左サイドに入るティーラトンはほぼ大外レーンでプレーするようになった。
これは左WGに大外で仕掛けるドリブラーがいないからというのもあるのだろうが、SBが中に入るプレーは確実に減った。
そして前節の名古屋戦では3バックでスタートした。チアゴ・マルティンスを中央に置き、右に實藤、左に畠中という3バックである。
布陣としては3バックの前に喜田と両ワイドの松原と高野、トップ下にマルコス・ジュニオール、3トップは仲川、ジュニオール・サントス、前田が入る3-3-1-3である。
一昨季もシーズン途中で3バックにした横浜FMだが、横浜FMはビルドアップのときに頻繁に3バック化するので、ボール保持の部分と攻から守への切り替えネガティブトランジションではそれほど違和感はない。なので2から3にすることで最終ラインの枚数を増やし逆サイドへの斜めのボールに対して対応できるようにしたのだろう。だからこそチアゴ・マルティンスも中央である。前半に實藤が負傷してしまったが、後半に交代で入った扇原も3バックの左にはいっていた。

ただ少し気になったのが、攻撃の中心であるマルコス・ジュニオールが少しイライラしながらプレーしていることが多いこと。
左右のハーフスペースに入って攻撃を加速させ、さらにフィニッシュにも絡むというのが昨季のマルコス・ジュニオールだったが、両WGが大外で仕掛けるタイプではなくなったので中に入る場面も多く、さらにSBが大外レーンに出てくるので、マルコス・ジュニオールがプレーするスペースが消えてしまっている。そのため下がってボールを受けてといったプレーが増えているので、本人としては思うようにプレー出来ていないのかもしれない。

■プレビュー

横浜FMの予想スタメンだが、前節はティーラトン、扇原がベンチスタート、小池がベンチ外となっているので彼ら3人は戻ってくるだろう。
ただし布陣は3で来るのか4で来るのかは微妙なところ。これまでであれば扇原と喜田がCHに入る4-2-3-1だが、前節の様に扇原を左CBに入れる3-3-1-3の可能性もある。

一方のセレッソ大阪の予想スタメンだが、前節終盤に復帰したデサバトが戻ってくるだろう以外はいつものメンバーになるだろう。
あとは2トップの人選。前節は都倉を起用したが、相手が横浜FMということを考えるともう少し幅広く動きスペースでプレー出来るタイプを起用したい。ただしブルーノ・メンデスの復帰は16日以降となりそうで、豊川の復帰も来週水曜日もしくは土曜日とのこと。となると鈴木孝司やあるいは柿谷の先発起用の可能性も考えられる。

試合のポイントとなるのはまず試合のリズムだろう。
横浜FMはアップテンポに持ち込む、セレッソはスローテンポでサッカーをしたい。
セレッソは横浜FMが速く前につけようとするビルドアップに対してどこでどの様に制限をかけるかが注目ポイントだ。
そして次に横浜FMの即時奪回に対してボールをどう逃がすか。
両WGとマルコス・ジュニオールのテンポと比べるとジュニオール・サントスは加入間もないということもあり若干テンポは落ちる。CB、GKを使って逆サイドに持っていくことができるか。または両サイドで幅を取ってボールの逃しどころになる坂元と丸橋のところにどうボールを届けるか。これができればチャンスは広がる。

マリノスは敵陣でサッカーをしようとするが、得意なのは速いリズムでプレーすること。敵陣でボールを持って落ち着いた状態になると実はそこまでチャンスは作っていない。

2012年以降は公式戦で一度も負けておらず、2017年以降の対戦成績は7勝1分、日産スタジアムでは3連勝と相性の良い横浜FM。
この試合でも勝ち点3を奪い、連勝を伸ばしていきたい。
今のチームはそれができるだけの力がある。

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