2020年9月11日金曜日

9/9 明治安田生命J1リーグ第15 節 VS. 北海道コンサドーレ札幌 @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審上田 益也
入場者数3,140人副審野村 修、鈴木 規志
天候 / 気温 / 湿度曇一時雨 / 25.2℃ / 74%第4の審判員谷本 涼
セレッソ大阪C大阪
 
北海道コンサドーレ札幌札幌
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • ペトロヴィッチ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:ロティーナ監督
北海道コンサドーレ札幌:ペトロヴィッチ監督

<選手コメント>

セレッソ大阪:奥埜博亮、キム・ジンヒョン
北海道コンサドーレ札幌:ジェイ、金子拓郎

9連戦の真っ只中となる明治安田生命J1リーグ第15 節。セレッソ大阪は本拠地ヤンマースタジアム長居で北海道コンサドーレ札幌と対戦し2-0で勝利。第15節にして今季10勝目を挙げ、リーグ戦の連勝を4に伸ばした。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは前節から2人入れ替え。左SBが片山から丸橋へ。2トップの1人が柿谷から奥埜へと変更された。
ベンチには前節トップチームデビュー戦でゴールを奪った藤尾が2試合続けて入り、デサバトも8月23日の第12節以来メンバーに戻ってきた。

一方北海道コンサドーレ札幌の先発メンバーは前節から5人入れ替え。出場停止の菅に加え、駒井、アンデルソン・ロペス、宮澤、ルーカス・フェルナンデスが外れ、ドウグラス・オリヴェイラ、白井、高嶺、金子、進藤を起用。布陣もいつもの3-4-2-1ではなく3-1-4-2を採用してきた。

■札幌の狙いを考える

3-1-4-2の札幌
札幌の布陣は普段の3-4-2-1ではなく3-1-4-2だった。
この2つは「ちょっと違うだけ」の様に見えるが結構違う。3-1-4-2は2トップが2CBと綺麗にマッチアップしながらその他の選手が尽く4-4-2の泣き所に立つ形になっており、アントニオ・コンテがこの布陣で4-4-2を破壊しまくったという歴史がある。
ミシャ監督が来日してかなりの年月が経つが、かつては4-1-5のミシャシステムに絶対の信頼を持ちその形にこだわった広島〜浦和時代などから考えるとミシャも変わったなあということを実感する。札幌では様々なチャレンジも行なっているようなので当然なのだが。

そしてもう1つ札幌の布陣で特徴的だったのが両WBが逆足だったこと。右サイドには左利きの金子、左サイドには右利きの白井が起用されていた。
これは前節の都倉のゴールの様なゴールへ近づくインスイングのボールででファーサイドという狙いがあったのではないかと思う。
詳細はこの先で触れるがプレッシングと仕組みでセレッソからボールを取り上げる。サイドでは侵入できる。そこでセレッソのCBは堅いが、2トップに190cmのジェイと188cmのドウグラス・オリヴェイラというストロングヘッダーで前節の都倉のゴールの様な形を作りたかったのだろう。押し込むことができれば進藤、福森でゴールから遠ざかるアウトスイングのボールを入れることもできる。

■札幌のプレッシング

札幌の同数プレッシング
札幌はセレッソのビルドアップに対して人数を合わせてプレッシングを行なってきた。
2CBには2トップ。2CHには2IH。2SBには2WBである。最終ラインに対しては人数を合わせてプレッシングを行うことは珍しいことではないが、いくら札幌の守備がマンツーマンベースとはいえこまで徹底するのは珍しい。ゴールキックからのビルドアップでも完全に人数を合わせてきたのでバスケットボールでいうところのフルコートマンツーである。
中盤にスペースを作ってそこにボールを落とす
これに対してセレッソはどうするかということになるが、立ち上がりは人につくという特徴を逆に使い、DFラインとCHは下がって、2トップとSHは前に出ることで中盤にスペースを作り、キム・ジンヒョンからそのスペースにボールを落とし、奥埜や清武が下がってくるという形でビルドアップを図ろうとしていた。

■セレッソの先制点

そんな形で試合が始まったが開始早々の6分にセレッソが先制する。
決めたのは奥埜。札幌のビルドアップミスから藤田がインターセプトし、そのまま縦パスをつけると奥埜は落ち着いて流し込んだ。
これがクラブのJ1通算1000ゴール(0001ゴール?)。派手さはないが確実にチームコンセプトに沿った仕事ができるとして今のチームを前線で支えている選手がメモリアルゴールを決めた。
セレッソの先制点につながるプレッシング
セレッソがボールを奪った時のプレッシングはこういう形。
同じ様に適時にから守備をしているが、札幌の同数プレッシングとは異なり中間ポジションを取りながら布陣を崩さずにサイドに追い込みアプローチをかけている。
福森のミスキックから失点につながったが、福森はアプローチを受け時間とスペースを制限される中で右足で蹴らざるを得なくなったのが苦しかった。
ただし、もしこの福森からのパスが田中につながっていたとしてもセレッソが一気にピンチに追い込まれることはなかっただろう。

■ボールを持たない戦い方へ

先制点の後しばらくはセレッソも自陣からビルドアップを続けていたが、徐々に前線に目掛けてロングボールを蹴る場面が増えていく。
18分に作った清武のクロスから坂元がヘッドで合わせる決定機の様に、対マンツーマンの代表的なやり方であるワンタッチやフリックを多用して自陣から繋いでチャンスを作る場面もあったが、時間の経過と共にキム・ジンヒョンからのゴールキックもロングキックを使う様になる。

これを選択した理由は非常にシンプル。札幌が同数プレッシングを行なってくるからだろう。
セレッソのDFラインとCHに対して同数でプレッシングを仕掛けるということは、セレッソの前線と札幌のDFラインとCHも同数になっている。
となれば、自陣からつないでいくよりも蹴ってしまった方が手っ取り早くチャンスになる。
セレッソはどうしても自陣からパスをつないでいきたいチームではなく、前線に時間とスペースを送ってチャンスを作るために自陣からビルドアップを行なっている。
自陣から繋がなくてもロングボールで時間とスペースを前線に作れるのであれば、特に自陣からつなぐ理由はない。
28分にはキム・ジンヒョンのキックから都倉がヘディングで競り、そのセカンドボールを奥埜が胸で清武に落とす。さらに38分にはキム・ジンヒョンからのロングキックを都倉がヘディングで落とし奥埜が抜け出しGKと1対1に。セレッソはこのロングボールでビッグチャンスを作っている。

ロングキックを多用する様になったのは、セレッソが先制したことと札幌が執拗に同数プレスをかけてきたことが理由なのだが、「セレッソが札幌のプレスを嫌がって蹴り始めた」というのとは少し違う。「パスをつなぐよりも蹴った方がリスクが少ない上にチャンスも作れるので蹴ることを選択した」という方が正しい。
「ボールを持てなかった」のではなく「ボールを持たない方法を選んだ」のだ。セレッソにとってボールを持てるかどうかの勝負は試合の勝敗とは直接繋がらない。

■優勢・劣勢とは何を指すのか

ということで札幌がボールを保持する時間が増えていった。
札幌のボール前進
3-1-4-2の札幌は主にアンカーの田中、もしくは高嶺が最終ラインに落ちる形を使って、セレッソの2トップの脇からボールを運ぼうとする。4-4-2に対する常套手段だ。
アンカーが落ちることで2トップ脇を3バックの両サイドが使いやすくなる。そして札幌の左サイドに関してはIHの高嶺がここに入ることで福森を前に出そうとする動きが多かった。右サイドでも荒野が下がってくることもあったが頻度的には高嶺の方が多かったのは福森の左足を使いたいからだろう。
ただし、これに対してはセレッソも4-4-2のブロックを作っていつも通り中を締める。となると札幌の攻撃はサイドから。しかしここもいつも通りCBのポジションニング、CHのカバー、SBはどこに出るか、SHはどこまで戻るか、など徹底することでクロスは入れるもののチャンスらしいチャンスはほぼ作らせていない。というかクロスもキッカーが良い状態では上げることはほぼ出来ていない。
福森からのクロス
札幌が狙っていた形の1つにWBを使ってサイドで押し込んでから戻して福森がクロスを入れるという形があったと思うが、ここには2トップの1人が対応することでそれほど余裕のある状態でクロスを入れることをできなくしていた。
2トップがいけないこともあるが、その時もCB2人を中心に中でしっかりと跳ね返すことが出来ていた。

この状態はセレッソにとっては想定内。これがあるからボールを持たないという選択をしたのである。
セレッソはいわば家(ゴール)に入る扉を全て閉めていたという状態だった。
札幌もこうなることをある程度予想した上でジェイとドウグラス・オリヴェイラの2トップを選択したのだろうが、閉まっている扉を外からドンドン叩いている様な感じ。もちろん彼ら2人は閉まっている扉をこじ開ける力も持つ選手だが、セレッソもJリーグ屈指の頑丈な扉を持っているので全て跳ね返していた。

なので試合展開について「札幌が優勢に進めていた」となっているものが多いが、セレッソにとっては十分対応できる範囲内。
閉まっている扉を外からドンドン叩いている・叩かれている状態が優勢・劣勢といえるのかというところである。
別にボールの持ち合いをしているわけではなく、相手より多くゴールを決めた方が勝ちというゲームを行なっているのだ。

その中で前半で明確にピンチと言えるのが40分の田中からのパスで大外から金子が斜めに入ってきた場面だろう。
この場面は札幌の動きもパスも素晴らしいものだったが、瀬古が少しポジション修正をサボった場面であり、扉を少し閉め忘れていたと言ったところだったが、キム・ジンヒョンが侵入者を無事追い返した。

■空いている扉を使う

後半の立ち上がりも同じ様な展開が続く。
ここで試合を動かしたのはセレッソ。
キム・ジンヒョンのビルドアップから丸橋がワンタッチで奥埜に繋いだ瞬間に前線は3対3。
右サイドの坂元に展開し坂元は得意のキックフェイントから切り返しではなく松田へのパスを選択。松田のクロスが上がった瞬間は清武がゴールまえで完全にフリー。清武のボレーは本人曰くパス(どう見てもミスキック)から最後は奥埜が頭で押し込み59分にセレッソが2-0とリードを広げる。
この場面は奥野に入った瞬間に3対3になっているのでカウンターの様に見えるが、別にカウンターでもなんでもなくGKキム・ジンヒョンからのビルドアップで始まっている。
札幌は前で同数プレスをかけるために扉を開けて多くの選手が出て行っていたので、セレッソの前には空いてる扉が沢山あった。その扉を閉められない様にボールを動かしゴールを決めたという形である。

■人は変わるも戦い方に変化なし

60分〜
札幌は60分に白井に代えてルーカス・フェルナンデスを投入。ルーカス・フェルナンデスは右WBに入り金子が左へ移動する。

この交代後の66分に札幌はこの試合最大の決定機。福森からのクロスをジェイがヘディングで合わせるがクロスバーにあたる。
この場面は先ほども福森からのクロスで書いたサイドで押し込んでから福森に戻してクロスという場面。前半のセレッソはここにFWの1枚が行っていたのだが、この場面では都倉の足が止まっていたので寄せられず。そこでジェイに上手く合ったのだが決められなかった。
73分〜
後半の引水タイムも終わった73分にセレッソは都倉と清武に代えて鈴木と片山を投入。鈴木はFW、片山はそのまま左SHへ。ルーカス・フェルナンデスとのマッチアップに加え高さの要素も考えた交代だろう。
札幌も同時に金子と荒野に代えて宮澤と深井を投入。福森が前に出て左WBに入り、高嶺が3バックの左。宮澤と深井はそのまま中盤に入る。

76分のドウグラス・オリヴェイラのシュートはもうそれしか選択肢がなかったのでキム・ジンヒョンがセーブする。
82分〜
82分、セレッソは奥埜と木本に代えて西川とデサバトを投入。
90+1分〜
さらに89分に札幌はドウグラス・オリヴェイラに代えて早坂、セレッソは90+1分に坂元に代えて藤尾を投入。
86分に福森の折り返しからジェイ、88分にカウンターで西川のシュート、90+1分に藤尾がシュート、と両チームがゴールに迫る場面はあったものの、そのまま試合終了。
札幌は人は変わるけど戦い方には変化ないというミシャあるあるで、セレッソ大阪は2-0で北海道コンサドーレ札幌を下した。

■その他

試合の流れ自体はセレッソが早い時間で先制したことが影響した部分もあるが、札幌としてはクロスから2トップでというのを狙っててこの布陣、この人選となったのだろう。札幌はこじ開けることができる、セレッソは防げぐことができると判断して同じ展開が続いたが、この試合に関しては上回ったのはセレッソというところだろう。そしてセレッソは最後までここを変える必要がなかった。
後、ビルドアップの部分では札幌が前線からのプレッシングを続けたが、相手のビルドアップから実際にボールを奪って得点を奪ったのはセレッソ。そういったところの差も結果を分けた要因といえる。

これで第15節を終えて10勝3分2敗。川崎が走っているがペースとしては決して悪くない。川崎もこのまま最後までいくことは無いだろうから、ペースをキープしチャンスを待ちたい。



0 件のコメント :

コメントを投稿

新着記事

人気の投稿

セレッソ大阪公式Twitter

楽天

楽天トラベル