スタジアム | 味の素スタジアム | 主審 | 山本 雄大 |
入場者数 | 4,316人 | 副審 | 聳城 巧、熊谷 幸剛 |
天候 / 気温 / 湿度 | 雨 / 19.9℃ / 90% | 第4の審判員 | 田中 玲匡 |
メンバー
- 監督
- 長谷川 健太
- 監督
- ロティーナ
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場可能数の「50%以下」又は入場可能数が「17
000人以上のスタジアムは30%以下」)での試合開催
※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定
(入場可能数の「50%以下」又は入場可能数が「17
000人以上のスタジアムは30%以下」)での試合開催
※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定
<監督コメント>
<選手コメント>
今節からシーズン後半戦斗なる明治安田生命J1リーグ第18節。セレッソ大阪は敵地味の素スタジアムでFC東京と対戦し2-0で敗戦。
今季初の連敗となった。
■メンバー
FC東京の先発メンバーは前節から4人入れ替え。アダイウトン、田川、内田、品田が外れ、永井、ディエゴ・オリヴェイラ、アルトゥール・シルバ、安部が起用された。
また布陣も4-3-3から4-4-2に変更。はっきりと4-4-2の布陣を取るのは前回対戦した第9節の1つ前、第8節の鳥栖戦以来となる。
一方セレッソ大阪の先発メンバーは前節から1人入れ替え。左SBを片山から丸橋に変更。前節早い時間帯に交代した藤田も引き続き先発出場となる。
■東京が準備した4-4-2
試合は立ち上がりからセレッソがボールを持つ展開となった。
狙っているのはSBに入ったところでのSHのアプローチ。東京としては高い位置でボールを奪うことができショートカウンターまでもって行くことができれば最高である。
こうなればセレッソは2トップの脇でボールを運ぶことができる様になり、東京のSHがむやみにセレッソのSBにアプローチに出てしまうと間に入られる。
ということで東京のSHは内側に絞って下がりブロックを作る形になっていった。
東京のブロックを作る守備はとにかくスペースを埋めることを優先。ブロック全体をリトリートし、両SHもしっかりと下がることでブロックの中にはとにかくスペースを作らせない。そしてセレッソの幅を作る選手、右の坂元、左の丸橋に関しては中村帆高、小川の両SBが徹底的にケアしていた。
スペースを埋めることを優先しているので逆サイドにボールがある時はもちろん大外を捨てボールサイドにスライドするのだが、それでも常に中村帆高は丸橋を、小川は坂元のポジショニングを意識し、何度も首を振っているのが印象的だった。
■セレッソの狙い
東京のCHは2人はスペースを埋めるというコンセプトの割にはよく動く。なのでセレッソはCHの2人とSBのポジションから内側に入りCH化した松田の3人を中心にボールを動かすことで東京のCH2人を動かし、その背後に入る清武、2トップでチャンスを作ろうとしていた。
しかし、このスペースはかなり狭い。というか狭くしたいので東京もリトリートしているし、さらにその先には自慢の強いCB2人もいる。
また動くCHもここは使わせたくないので動いた後のプレスバックも早い。そして動いた時は多少ファール気味でも強く当たって潰しにかかる。
セレッソのスペースを消す守備に対し、東京の守備はガツンと止めに行くプレーが多いのはこういった守り方をするからである。
ということで、セレッソがボールを持つ時間は長いものの、チャンスとまで言える場面までには至らない。前半はそんな展開が続いた。
これは狙っていたというわけではないが、東京のCHの背後を狙う攻防の他にセレッソが何かを起こせそうな可能性があったのは東京の右SHに入る三田のところだった。具体的にわかり易いのは18分の清武がペナルティエリア内に侵入した場面。このきっかけとなったのは三田が何故か暴走してCBにまでプレッシングに行ってしまったことだった。
そこまで何度も起こっていた訳では無いが、この18分の場面でも最後にバランスを崩したものの清武はドリブルでペナルティエリア内に侵入している。三田にすれば「ボールを奪い返したい」という積極性なのだろうが、この試合では「スペースを埋める」というのが東京にとっての最優先のプランだったと思うので危ないプレーだったと思う。
東京のCHを動かしてその背後というセレッソの狙いだが、印象的だったのはセレッソは2枚のCBとその前に2人のCH+右SBの松田、幅を取るのは右の坂元と左の丸橋、前線は2トップ+清武という形をほとんど崩さなかったことだった。
崩さなかったのはボールを失った時のことを考えて。というのも東京のサッカーは「ファストアタック」と名付けている様にボールを奪い返して一気に前線に送ることに重点を置いている。「幅」や「ズレ」を作るといったことは二の次。とにかく早く相手ゴールに迫る。これこそが東京の最大の武器だ。なのでセレッソはそれをやらせないためにCBの前に3人のCHを置いて東京のファストアタックを止める、スピードダウンさせる。ボールを持ちながらも守備をしているということである。
その結果前半の東京はボールを奪っても全てスローダウンさせられ、最大の狙いである「ファストブレイク」を繰り出すことはできなかった。
ということで我慢比べの時間が続いた前半。
セレッソは踏み込みすぎずに相手を動かそうとする。東京はスペースを消しながら縦に速い攻撃を狙う。
前半のボール保持率はセレッソが69%、東京31%。シュート数は東京5本、セレッソ4本となっていた。
■セレッソが動く
我慢比べが続いた前半から交代なしで迎えた後半。
このまま静かな我慢比べが続くのか。それともセレッソが先に一歩踏み込むのか。または東京が先にボールを奪いに行く場所を前に出すのか。
後半の注目ポイントはこのあたりだっただろう。
前回の対戦はどちらも動かず0-0の引き分けに終わっているが、現在はすでにシーズンの半分が過ぎ、さらにセレッソが2位、東京が3位という関係にある。
両者の関係を考えると、先に動く可能性が高いのは順位が下の東京と考えるのが一般的だろう。
両者の勝ち点差は4で東京の方が1試合消化が多い。実質勝ち点差7とも言える関係だ。勝ち点差7をひっくり返すには3試合が必要となる。残りまだ半分あるとはいえ、東京は是が非でも勝って勝ち点差を詰めたい試合である。
となると、逆に言えばセレッソにとってはこの2チームの関係だと最悪0-0でも1試合消化することを考えると十分OKとも言える。
しかし実際はそうはならなかった。先に動いたのはセレッソだったのだ。
というのもセレッソにとってターゲットは3位の東京ではなく首位の川崎F。しかも川崎Fとの勝ち点差は8。東京と同じくひっくり返すには3試合が必要となる差である。東京との差を考えれば引き分けの勝ち点1でもOKだろうが、川崎Fとの差を考えるとセレッソにとってもこの試合は引き分けの勝ち点1では不十分、勝利の勝ち点3が欲しい試合だったからだろう。
こうなれば小川も坂元だけを注意しておけば良いというわけにはいかず、ディエゴ・オリヴェイラも下がって対応せざるを得なくなる。ディエゴ・オリヴェイラは本来FW。前半見せていた様にスペースを埋めるのはできるが、押し込まれて難しい対応になると流石に厳しい。
ということで後半立ち上がりからアタッキングサードに迫り、ペナルティエリア内にもボールを入れる回数が増えチャンスを作り始めるセレッソ。
54分には丸橋のクロス、57分にはキム・ジンヒョンのキックから一気に裏返しブルーノ・メンデスが坂元からのパスを受けシュートを打つ場面を作る。
そして59分には松田のクロスからの展開で奥埜が丸橋がという決定機。しかしこの決定機に奥埜のシュートはポストに阻まれ、丸橋のシュートは林の正面。決めることができなかった。
セレッソにとってはあえて一歩踏み込むことで作った決定機。ここは絶対に決めておかなければならない場面だった。
■セレッソが動いたことで東京が走る
するとそこから何プレーか後の63分。東京の自陣でのスローインから一気にカウンターが発動する。
アダイウトンが後ろから飛び出す安部にボールを落とすと一気にボールを運び、最後は外から出てきたディエゴ・オリヴェイラが決めて1-0。東京に先制を許してしまう。
この場面はロティーナが最も嫌がる戦術的なミスと言っていいだろう。
安部にボールが渡った時点で、デサバトと藤田のCH2人が2人とも背中をとられてしまっているのだ。なのでゴール前では4対3の数的不利。カウンターなのでキム・ジンヒョンのポジショニングも少しニアポスト方向にずれてしまっているが、もし正しいポジションを取り、ディエゴ・オリヴェイラのシュートを弾くことができたとしても、後ろから出て来ているアダイウトン、レアンドロ、安部の誰かに詰められていた可能性は高い。藤田も入れ替わられた瞬間にデサバトが両手をパチンと叩いているのが印象的だった。
後半はセレッソが一歩踏み込んだことで、立ち上がりからここまでの間にも東京に走られかけている場面が何度か生まれていた。
一歩踏み込むということはリスクを冒しているので当然起こり得る。しかしここまでは最終的にはCHが対応することができ、東京の攻撃をスローダウンさせることが出来ていた。
しかしこの場面ではCHの2人共が背中を取られてしまったため、そうはいかなかった。
とはいえ、悔やまれるとすればやはり失点前の10分間だろう。
チャンスを作りながらも決められなかった時間帯である。一歩踏み出すということはチャンスにもつながるが、リスクをかけているので当然ピンチも起こり得る。そんな中で狙い通りビッグチャンスを作ったんだから、そこは決めなければならない。リードを作れば再び戻すこともできたのだ。
そしてさらにその3分後の66分、東京は追加点をあげる。
CK崩れの展開から森重のクロスを内田が折り返し、アダイウトンが詰めてゴール。2-0となってしまった。
この場面は微妙なところではあるがアダイウトンはオフサイドポジションにいた。しかしフラッグは上がらなかった。
森重のクロスに対して瀬古が前に出ているのでこういう場面はオフサイドになりやすく、場合によってはオフサイドではないがフラッグをあげてしまうという逆の誤審をしやすい場面なので、副審はかなりしっかりと見ていたと思う。
見ていたのだが誤審をしてしまった。
Twitterでは最後にプレーしたのが丸橋だったからオフサイドじゃなかったのか?といったツイートも見たが、副審はゴールが決まった瞬間にあえて旗を一旦下げオンサイドのジェスチャーを出してからハーフウェイラインに向かって走っているので、副審はアダイウトンのポジションはオンサイドでゴールインだとジャッジしている。
なので、セレッソの選手が山本主審に対し「副審に確認して欲しい」というアピールしているにもかかわらず、山本主審は何も確認せずにゴールだと認定しているのは、副審がはっきりとオンサイドだというジャッジを下しているからである。
というか今は無線があるのでおそらく副審からはオンサイドということが主審に伝えられていたはずである。となると、セレッソの選手がいくらアピールしたところで山本主審としては「ゴールですよ」としか言いようがない。
まあそもそもその副審のジャッジが間違えているのだが。
■ゴールは割れず
こうなるともうセレッソはさらにリスクを冒してでも攻めるしかない。
80分の2人に関しては高さという面もあっただろう。
セレッソはもうリスク承知なので74分のアダイウトンにシュートを放たれた場面の様にピンチもあるが、そこはキム・ジンヒョンに守ってもらうしかない。ただ84分に高木が戻して鈴木がボレーで狙うもヒットせず、決められない。
するとその直後。柿谷がアルトゥール・シルバに倒されペナルティエリアのすぐ外でFKを獲得する。
これFKを柿谷が直接狙うと、壁に入ったレアンドロの肘に当たり跳ね返る。しかしこの場面でも主審はハンドと取らなかった。
競技規則的にもここはハンドとなるべき場面だった。
以前のハンドは「意図的かどうか」が大きなポイントだったので、今回のレアンドロのケースの様に身体から手が離れておらず、ボールに向かって動いていない場面ではハンドにならないことも考えられた。(前節のレオ・シルバのプレーは迷うことなく昔からハンドであるが)
しかし元のルールであった「意図的かどうか」は、解釈が難しく主審によって判定がぶれる可能性が高かった。なので近年は何がハンドかということをはっきりさせるという方向へルールが改正されており実際に様々なルール変更が行われている。(その一環が川崎F戦で先制点を奪われたFKにつながった松田のプレー「肩はハンドではない」というハンドとなる箇所の明確な線引きである。)
今回のケースはそんなルール改正がおこなわれたものの1つ。
現在のルールでは「競技者の手や腕が肩以上の高さにある」場合、その手や腕にボールが当たればハンドとなることになった。レアンドロの腕はボールが顔に当たるのを避けるためであり、意図的にボールに向かって手を動かした訳ではないが、腕を肩より上に上げているのでハンドである。
しかしここでは主審はそれを見ることができなかった。
リプレイを見ると、主審はシュートが飛んでいったときにもう壁を越えると判断してGKの方に意識が行っている。なので壁にはあたったものの、誰のどこに当たったのかは見えなかったのだろう。
今回はセレッソの選手のハンドアピールを受け主審は副審に確認。確認した副審も東京陣側にいる副審ではなくセレッソ陣側に確認している。これは東京陣側の副審はオフサイドラインを見ているので壁は確認できないので距離はあるが広く見ることができるセレッソ陣側の副審に確認したのだろう。
しかしこの副審は「頭に当たった」と答えた様で、主審は「頭」を指差してCKだと伝えている。
一般的にあの手の動きで頭に当たるとは考えにくいのだが。
ということでハンドでのPKはなし。今のルールではFKの壁でハンドが起こる可能性は以前よりも高いので、主審にももう少し意識を壁の方に向けておいて欲しかった。
セレッソ大阪は2-0でFC東京に敗戦。今季初の連敗となってしまった。
■その他
2試合続けてハンドの誤審。さらに2失点目はオフサイドの見逃しということでモヤモヤが残る結果となってしまった。
とはいえ、納得はいかないもののどうしようもない。どうしようとも結果は変わらない。
ただ、文中にも書いたように反省しないといけない点もある。
これで川崎Fとの差はさらに広がってしまうことになったが、セレッソとしてはあまりそこを気にせず、目の前の1試合1試合で最善を尽くしていくしかないだろう。
次戦は目の前の試合に集中し、勝利に向けてチームとしての戦い方を遂行していく姿を見せて欲しい。
ツキがないと言ってしまえばそれまでですが、審判の質の低さに唖然とします。これもコロナ禍なんでしょう。次は仙台に勝って、川崎の大一番に向かいましょう。川崎戦はリスクを冒して攻めるべきと考えていますが、いかがでしょう?
返信削除もやもやは残りますが、誤審についてはもうどうにもならないのでは。もともとVARを使う前提だったジャッジがオフサイドにルーズになるのは今後の傾向として必然となる気がします。ルール改正も将来的にはオフサイドを厳しくとることはなくなるでしょうし(ゴール前での待ち伏せさえ防げればいい、という趣旨にのっとれば)チームとしてオフサイドに頼らないようにしていくほうがトレンドになるのではないでしょうか。
返信削除ともあれ、これで川崎、東京、名古屋、鹿島と今期の上位争いしそうなチームほとんどに負けがついたわけで、優勝をあきらめるのはもちろんないですが、現実的な目標としてはACL圏内、ということになったかな、という印象ですね。いまのサッカーが間違っているとは思いませんが、戦力と勢いを考えれば今のままで川崎と再戦しても分が悪いと思います。淡々と今の流れを継続するのか、何らかのギャンブル的な川崎対策を用意するのか、ロティーナのお手並み拝見というところでしょうか。
ロティーナはギャンブルなんてしない。勝ちは引き分けの延長線上が信条だから、勝ち点をこれまでのペースで稼げればいいと考える。川崎の勝ち点ペースとかはたぶん問題でなくて、そもそももとから優勝は出来ないサッカーだが予算規模からするといい順位(6位以内)につけられることが期待できる監督。4年見てそう思う。
削除人格、戦術とも震えるほど好き。
ギャンブルって意味ではFWの補強をフロントがするかどうか。ロティーナ+まともなFWはまだ見たことない。優勝はそれが前提。
ロティーナのサッカーに期待するのは同じなんですけど、
削除いいFWさえいれば、ってのは懐疑的ですね…
そもそもロティーナのサッカーに適性があって点の取れるFWってかなりハードル高くなるでしょうし。ブルーノ、都倉、柿谷とまるで違うタイプの3人が誰も二けたいけないのならむしろ相当特殊なタイプが必要ってことなのかもしれません。
決めなければいけないチャンスを決める、というのはその通りですけど、それを100%決めるというような話よりはセットプレーで点を取る方向性のほうがシーズントータルでみて得点増やす意味では効果的だと思います。最近のセレッソは一時期に比べてセットプレーの量も質も低下してる(もしくは対策されてる)ように見えます。
皆さんコメントありがとうございます。
削除僕はギャンブルをする必要なんてないと思いますよ。
いいFWさえいればというよりも、このチームには沢山点を取れるストライカーがいないのでそれが必要だと思っています。
厳しい書き方になってしまうかもしれないですが、ブルーノ・メンデスも都倉も現在の柿谷も得点を量産できるストライカーではないですから。
私もTwitterで丸橋が~と書きました(笑
返信削除横浜FM戦や鹿嶋戦に続き、連続の誤審は正直モヤモヤしますが、決めるべきチャンスに決めきれなかったのが全てですね。
川崎、鹿嶋、F東京、どれも個の力に負けた気がします。
ポジションミスったとか、囲みに行って逆にスペースに出されてしまったとかはある程度仕方ないと思いますが、囲んで突破されたり、抜かれてから走り負けたり、セカンドボールを取られたり、スペースを消すサッカーの影響?か、局面における個の勝負に弱い気がします。
セレッソのサッカーは他のチームに負けてないし、確実に強くなっていっていますが、拮抗した時に流れを引き寄せる決定力だったり、相手の力を受け止める強度だったりが足りないなぁと。
そう感じた連敗でした。
コメントありがとうございます。
削除「個の力に負けた」で処理してしまうと全部がそうなってしまいますよ(笑)
ちなみに局面における個の勝負、デュエルの勝率はどの試合も全然悪くないです。
コメントありがとうございます。
削除やはりそうなんですね。書きながら、ネガティブな印象は残りやすいので、実際はそこまで悪くないのでは?とも思ってたのですが。
そうですね、どうしても嫌な記憶は鮮明です(笑)
削除