2020年9月7日月曜日

9/5 明治安田生命J1リーグ第14節 VS. 浦和レッズ @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審村上 伸次
入場者数4,793人副審三原 純、越智 新次
天候 / 気温 / 湿度曇 / 26.6℃ / 82%第4の審判員小屋 幸栄
セレッソ大阪C大阪
 
浦和レッズ浦和
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • 大槻 毅

雷雨のため30分遅延
新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:ロティーナ監督
浦和レッズ:大槻毅監督

<選手コメント>

セレッソ大阪:都倉賢、藤尾翔太
浦和レッズ:槙野智章、長澤和輝

ミッドウィークのルヴァンカップから中2日で行われた明治安田生命J1リーグ第14節、ヤンマースタジアム長居でのセレッソ大阪対浦和レッズの一戦は雷雨の影響により30分遅れてのキックオフとなったが、後半一気に3得点を奪ったセレッソ大阪が3-0で勝利。リーグ戦5試合ぶりの無失点で快勝した。

■メンバー

セレッソ大阪のスターティングメンバーはリーグ戦前節から2人入れ替え。ブルーノ・メンデスと高木、奥埜が外れ、都倉、柿谷、木本を起用。木本はCHに入り柿谷はFWでの起用となった。
ブルーノ・メンデス、高木はベンチからも外れ、U23から喜田と藤尾がベンチ入り。藤尾はこれがトップチームでの初のベンチ入りとなる。

一方の浦和レッズのスターティングメンバーは1週間空いての試合ということもあり前節と全く同じ11人。ベンチには古巣対決となる杉本も入った。

■掴みきれない前半

3分の瀬古の左足での対角フィードから坂元がヒールで落として松田がGKとDFの間を狙うクロス。
5分、6分と柿谷の圧倒的な個人技からのボール前進。
9分の松田のDFとMFの間を斜めに狙うグラウンダーパスから清武のシュート。
と立ち上がりからチャンスを作っていたのはセレッソだったが、試合の進め方としてはあまり良い形にはなっていなかった。
というのも少し行ったり来たりの、セレッソがやりたくない展開になっていたからだった。

ルヴァンカップのグループステージで対戦時にはビルドアップの部分で苦しんでいたが今回はそこでは問題はなく。また浦和のビルドアップに対しても簡単に運ばせず。そして西川周作からのゴールキックは1度興梠に届けられた場面はあったがCHの素早い対応でスピードアップをさせず。また浦和がよく使う手の1つである西川周作から橋岡へのロングボールに対しても木本をあらかじめ橋岡の近くに立たせたり、木本が行けない場合でも左SBに片山を起用しているので、橋岡が空中戦で勝ったのは試合を通じて1度のみという結果からもわかるようにきちんと準備できていた。

しかし前半は都倉がほとんど前線でボールに絡めず、柿谷と都倉が重なってしまうこともあり、通常の試合では前半は40回代となることが多いボールを失う回数がこの試合では50回を超えていた。
10分以降は、山中のスルーパスで関根にハーフスペースに抜け出されたり、レオナルドに抜け出されかけたりとセレッソのゴール前まで一気にボールを運ばれる場面が続くこととなる。
浦和の攻撃はそこまで人を動かす様な形はないのでそれに対してもセレッソはきっちり対応できており、シュートブロック4本、浦和の枠内シュートは0とピンチらしいピンチは作られていなかったが、プレビューでの書いた様に浦和は質を上げることよりも数を増やすことで2トップのクオリティで勝負するという戦い方をするチームなので、浦和としては悪くない前半だったのではないだろうか。
一方のセレッソにとってもしっかり対応できているので悪くはないのだが、試合をコントロールできていないという部分では少し不満の残る前半だったと思う。

■サイドチェンジから

後半開始〜
後半開始からセレッソは柿谷に代えて奥埜を投入。
個人的には柿谷ではなく都倉を下げるかと思っていたが、はっきりした武器のある都倉を残す選択をした。柿谷は立ち上がりの2つに加え38分にも圧倒的な個人技でキレのある動きを見せていたが、前半は試合をコントロールできていなかったのでチームの機能性を優先したのだろう。

するといきなりの48分。奥埜がトーマス・デンと入れ替わる形でボールをキープしたところから清武に渡すと、清武はサイドチェンジで坂元へ。坂元の左足でのクロスをファーサイドで都倉がヘディングで合わせゴール。セレッソが先制する。
サイドチェンジで坂元にボールが入った時に完全に1対1の状況を作られてしまったことで、山中は抜かれないよう距離を空けて守るという対応になったことで坂元は狙いすましてクロスを入れることができた。
そしてファーサイドの都倉は札幌時代にも得意としていた形である。

プレビューでも「サイドチェンジからのクロスをファーサイドでという形がチャンスになる」と書いたが、浦和はこの形での失点が比較的多い。
その理由の1つは守備の時にスライドしてサイドに圧縮するため必ず逆サイドが空くことになるのだが、その割には同サイドではめ込む様な守備があまりできないこと。2つ目がサイドチェンジをされた時にCHとCBの関係が曖昧になること。そして3つ目が昨季まで3バックをやっていた影響なのかクロスを上げられた時の逆サイドのSBの対応もあまり上手くないから。である。
橋岡はゴールキックのターゲットになるほど空中戦に自信がある選手なのだが、この場面では都倉と競ることもできていない。
ファーサイドへのクロスはボールと相手選手を同一視野に入れることができないので、4バックのSBにとっては対応が難しいプレーの1つである。
63分〜
62分にセレッソは都倉に代えて鈴木孝司を投入。浦和も63分に関根と興梠に代えて武藤と杉本を投入する。

先制後のセレッソは試合をコントロールできる様になっていた。
浦和の交代はそれを受けてのものだったかとは思うが、それまで浦和のボール前進を支えていたのは興梠がブロックの中で中間ポジションに降りてきてボールを受けることだった。
なので興梠がいなくなれば中にボールをつけることができなくなる。しかしそれでもこの交代を選んだということは、興梠のコンディション面での問題もあるのかもしれないが、外で縦に運んでクロスを入れる形しかなくなる。浦和としてはそれで良いということなのだろう。
ただし、セレッソにとってはこういった形での相手の攻撃はそれほど怖くない。
もちろんクロスがピンポイントで合えば危ない場面を作られるかもしれないが、セレッソにはヨニッチと瀬古がいるし、サイドにボールが出た時にCBのポジショニング、SBとCBの間を埋めるCH、CBが釣り出された時にCHはどこに入るか、などクロスに対してどう守るかがはっきりと決まっているからだ。
この試合で浦和は何度かグラウンダーでマイナスクロスというプレーを見せていたが、そのほとんどをセレッソが跳ね返したり、ボールを奪い返したりしていたことは決して偶然ではない。
73分〜
なんとか試合を動かしたい浦和は73分に長澤に代わって汰木を投入。
武藤が右SHに移動し汰木は左SHに入る。

■またもやサイドチェンジから

しかし試合を動かしたのはセレッソ。
藤田のサイドチェンジを受けた坂元がキックフェイントからの切り返しという鉄板フェイントで山中はアンクルブレイク。縦に持ち出しえぐってからの折り返しがトーマス・デンにあたりゴール。75分にセレッソが2-0とリードを広げる。
藤田のサイドチェンジで坂元へ

藤田からのサイドチェンジで坂元にボールが入った場面。山中はセレッソが先制点を奪った場面では距離を空けて対応する形になったため、ここでは距離を詰めていた。そして汰木も素早く戻ってサポートに寄っていた。
しかしこの2人がどちらも切っていたのは坂元の左足。しかし坂元は左利きにもかかわらず縦への突破という武器がある。
この時点で完全に坂元の形。またもやサイドチェンジからである。

ここで先ほど書いた「浦和にはサイドチェンジからの攻撃でチャンスが作れる理由」の2つ目「サイドチェンジをされた時にCHとCBの関係が曖昧になること。」について。
サイドチェンジが坂元に入った時浦和の2人のCHはジョグでCBの前へと戻っていた。そしてCBはセレッソの2トップをマーク。なのでカウンターでも速攻でもないのだが、 1本のサイドチェンジで坂元と山中が1対1になった。ハーフスペースを誰も見ていないしCHはどこも消せていなかった。
セレッソのやり方が完全に正しいとは思わないが、おそらく立場が逆ならセレッソはSHが捕まえに行って、SBはカバーリングポジションをとっていたと思う。
もしSHが対応できないのであれば、SBはクロスを入れられるのはOKという形にして距離をとって対応する。それを受けてCHは中を守るポジションを取る。
もしSBが出て行ってしまったら、SBとCBの間にCHが間に合うのか。間に合わなければCBが出て行くのでCHはCBが元いたポジションに入る。
もちろん正確にはわからないが、セレッソの対応としてはこんな順番になっている様に感じる。

浦和はボールサイドではハーフスペースに入られても捕まえた人がそのままついていくことが多いが、サイドチェンジで大きく展開した時には誰がどこを埋めるのかが一気に曖昧になる。結果的にはオウンゴールとなったがその弱点をしっかりとついた1点目と2点目だったと思う。

■持ってる男

83分〜
80分に浦和は橋岡、エヴェルトンに代えて岩武、青木を投入。83分にセレッソも木本、清武に代えて丸橋、西川潤を投入。
浦和はそのまま入れ替え。セレッソは丸橋が左SBに入り、片山は左SHへ。さらに奥埜がCHに下がり西川潤がFWに入る。
浦和はこれで交代枠を消化。
86分〜
まだ交代枠を1枚残すセレッソは86分、坂元に代えこの試合がJ1デビュー戦となる藤尾を藤尾を投入。右SHには西川潤が下がり、藤尾はFWへ。

トップチームデビューとなった藤尾はおそらく今まで体験したことのないJ1の寄せの速さなどを感じながらも積極的にチャレンジを続ける。
一度ゴール前に入っていくシーンはあったが、素早く寄せられて足に当てるのが精一杯の何もできない体勢に崩されていた。
しかしそんなチャレンジを続けていたことが思わぬ形で実る。
アディショナルタイムに入った90+3分。クリアボールを岩武とペナルティエリアから出てきた西川周作がお見合いの様な形に。そこで藤尾が西川周作からボールを奪い無人のゴールへとシュート。藤尾のゴールでセレッソが3-0とリードを広げた。
相手のミスからではあるが、香川真司も柿谷曜一朗も、そして杉本健勇も決められなかったトップチームでのデビュー戦で、ロティーナ監督も思わず笑みが漏れるゴールを奪って見せた。
そしてそのまま試合終了。セレッソ大阪が3-0で浦和レッズに完勝。今季2度目のリーグ戦3連勝を決めた。

■その他

前半はスプリント数も多く、少しバタバタした試合になっていたので心配させられたが、試合が終わってみればピンチらしいピンチもほとんどなく危なげなく勝利することができた。
DAZNでは浦和の枠内シュートが5本と紹介されていたが、そのうち4本はシュートブロックに成功しているので実質は1本。無失点勝利なのでその1本はキム・ジンヒョンがセーブした。

1、2点目は浦和の弱点をついた狙い通りの形だったと思う。そして藤尾は持っていた(笑)。結果を残したことで藤尾には今後もチャンスを与えられるだろう。
そして今季ここまで3度敗戦を喫しているが、その次の試合は全て引き分けでもなく勝利を挙げていることは大きい。
少しけが人が増えつつあるのが心配ではあるが、中3日での次の試合に向けてしっかりと回復して連勝をこのまま伸ばして欲しいところだ。




2 件のコメント :

  1. 分析とは関係ないんですけど、戸倉が決めて杉本が決められなかったというのはなんだか複雑な気分もありますね。

    開始すぐの柿谷のテクニック見せた2か所、
    どちらも(見事なものとは思いますが)結果としては試合をスピードアップさせる方向につながってる気はします。柿谷が前半で交代したのと関係あるとは言い切れませんけど。
    あのシーン、例えばシュートまでいけないとわかった時点でコーナーに向かって進んで時間を作り、ゲームをスローダウンさせるなどのほうが良いのでしょうかね。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      決められなかったのは杉本健勇だけじゃないので特に。。。(笑)

      柿谷のプレーについては、あの2つは悪くなかったと思いますよ。
      1人で行って1人で取られた訳ではなかったですし。
      ただ全体を通して、試合をスピードアップさせる要因になってたのは事実ですね。
      なので、もしかしたら次出るとしたらSHに戻るかもしれないですね。

      削除

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