2020年9月4日金曜日

9/2 YBCルヴァンカップ プライムステージ準々決勝 VS. 柏レイソル @ ヤンマースタジアム長居

スタジアムヤンマースタジアム長居主審佐藤 隆治
入場者数3,257人副審武部 陽介、渡辺 康太
天候 / 気温 / 湿度晴一時雨 / 29.6℃ / 70%第4の審判員野田 祐樹
セレッソ大阪C大阪
 
柏レイソル
 
  • 監督
  • ロティーナ
 
  • 監督
  • ネルシーニョ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場者数上限「5000人以下」又は収容率「50%以下」)での試合開催


<監督コメント>

セレッソ大阪:ロティーナ監督
柏レイソル:ネルシーニョ監督

<選手コメント>

セレッソ大阪:前川大河、庄司朋乃也
柏レイソル:鎌田次郎、呉屋大翔

ホーム&アウェイ方式ではなくワンマッチ方式となった今季のルヴァンカッププライムステージ。準々決勝でセレッソ大阪は柏レイソルと対戦するも0-3で敗戦。ルヴァンカップの敗退が決まった。

■メンバー

セレッソ大阪の先発メンバーは、リーグ戦前節から6人を入れ替え。松田、瀬古、藤田、坂元、清武、高木が外れ、庄司、丸橋、木本、前川、西川、柿谷が起用された。前川と西川はこれが今季初スタメンとなる。
そしてベンチには前節スタメンだった6人中5人が入っている。

一方の柏レイソルの先発メンバーは、リーグ戦前節から5人を入れ替え。高橋祐治、大谷、仲間、マテウス・サヴィオ、オルンガが外れ、北爪、鎌田、三原、戸嶋、呉屋が起用された。高橋祐治が長期離脱となり山下、大南、染谷と4人のCBが負傷離脱となった柏は北爪、鎌田、古賀による3バックを採用。3-5-2の布陣をとってきた。

■まさかの4-3-3

柏が3-5-2の布陣でくることはCBに負傷者続出ということもあり考えられない訳ではなかった。しかしセレッソの布陣は予想外だった。
確かにメンバー表上でも柿谷と西川がFW登録にはなっていたが、柿谷もしくは西川がFWに入る普段通りの4-4-2が通常考えられるメンバーである。
しかし試合が始まると木本がアンカーでIHに前川と奥埜、FWに西川、ブルーノ・メンデス、柿谷が並ぶ4-3-3の布陣だった。
この4-3-3についてロティーナ監督は試合後のコメントで「ボールをより持つ意図を持って、いつもとは違うシステムで戦いました」と語っている。

試合の立ち上がりを見ると、柏もセレッソが4-3-3で来ることは想定していなかったと思われる。
最初にチャンスを迎えたのは柏で、2分の呉屋のシュートはクロスバーに当たるという結果になったが、この場面はセレッソがロングスローをしようとしてヨニッチを上げた(結果的にロングスローはしなかった)場面のこぼれ球を木本がミスパスをしてしまったところから。
柏がボールを奪い返しDFラインの背後を狙う呉屋へのロングカウンターが炸裂したのだが、この場面は柏の狙いは見えたもののセレッソのミスからという形だった。
3分、セレッソのビルドアップと柏の対応
この柏の決定機の直後、3分のセレッソのビルドアップの場面。
セレッソは2CBの前にアンカーの木本を置いて、SBは大外レーン。3トップは中央に寄るという形で立ち位置を取る。
柏は木本を2トップで挟む様な形で守備をスタート。これは2CBとCHの1人を2トップでみようとする時のスタンダードな手法。最初からCBにはアプローチに行かないが、ボールを動かした時に2トップの1人が中央からサイドに押し出す様な形でCBにアプローチをかけ、もう1人がアンカーを捕まえることでボールをサイドに誘導しようとするやり方である。
4-4-2の時もセレッソはCHの1人をDFラインに落としたりするので、ここは柏としても準備していた形なのだろう。
しかしここからセレッソが右SBの片山にボールを出した時にアプローチをかけてきたのが左IHの戸嶋だった。柏としては中盤は3人でのスライドで守ろうとしていたことが伺える。
セレッソのビルドアップ
しかしセレッソのSBにIHが出てくると4-3-3で立つことで普段よりも中盤のセンターに枚数を多く配置している分、柏にとっては消しきれないスペース、パスコースが出てきてしまう。
人に対して強くアプローチをかけてくるのは柏の特徴の1つではあるのだが、消しきれてない状況で激しく行くので後追いになってしまいファールが増え、イエローカードを受ける場面が増えていた。柏は10分、14分と開始15分までに2枚のイエローカードを受けている。
19分の柏のチャンス
柏がセレッソの布陣が4-3-3であるということを踏まえて守備の形をはっきりさせたのが17分の三丸のクロスに呉屋がヘディングで合わせた後からぐらい。
2CBと2トップ、中盤の枚数も3対3になっているということで19分にSBの片山に対してWBの三丸が激しくアプローチをかけ、片山からヨニッチへのバックパスを呉屋がカット。クロスを入れるも誰も合わなかった。
マッチアップがはっきりする
こうしてマッチアップがはっきりとした柏は2トップはアンカーの木本を挟む形でセット。CBにはボールを持たせるがそこから出てくるボールに対して激しくアプローチをかける迎撃型で対応。マッチアップが全て決まっているのでバックパスに対してもアプローチに行くことができる。
ここまでも柏の激しいアプローチに対してビルドアップでボールを失う場面があったセレッソだが、ここからはそれまで以上にボール前進に苦しむこととなる。
そして柏はこの迎撃でボールを奪うことに成功すれば前線は2対2。迷いなく前にボールを送りチャンスを作っていた。
柿谷と西川がビルドアップの出口になろうとする
セレッソはなんとかビルドアップの出口を作ろうと3トップの両サイドに入る柿谷や西川が相手の中盤の脇に下がってくるが、そこにも3バックの両サイドがもちろんついてくる。
そして柿谷と西川が下がってしまうと1トップのブルーノ・メンデスは孤立してしまう。ロティーナ監督が試合後のコメントで話していた「前線が薄くなって、前に人数が足りていなかった」状態である。
この状況を打破しようと奥埜はビルドアップの時にマッチアップしているヒシャルジソンを引っ張ろうとしてか前に出て行く様な動きを見せるも、イバンからビルドアップの時にはちゃんと元のIHのポジションを取る様にという指示が出ていた。
セレッソのボール保持
そしてセレッソは、何とか迎撃をかわしてボールを保持できたとしても、リトリートされてしまうと柏の5バックに対してセレッソもSBと3トップで5枚で中央の3トップは全員後ろ向きでプレーする様な状況になってしまっていた。
両サイドは前向きなので21分の奥埜から逆サイドの裏に飛び込む片山へという様な形も有るにはあるが単発。「静」と「動」でいうと「静」を作ることにも苦労し、「静」を作ったとしても「動」に持っていけないというかなり難しい状態だった。

「静」から「動」という面で可能性があったのは33分にあった奥埜が個で相手の迎撃を剥がした場面。
マッチアップがはっきりしているので迎撃にきた相手を剥がすことができればそこからズレを作るチャンスにはなる。「動」を作ることができる場面である。
しかしそれにはかなりリスクが高い。もしここで引っ掛けられてしまえば先ほども書いた方にセレッソのCBと柏の2トップは2対2。確実にカウンターを受けるからである(実際に受けていた)。

そして38分。庄司が運んだところでボールを奪われカウンター。江坂に入れ替わられる形になり最後は呉屋に決められゴール。0-1となる。
そしてその後も何度かカウンターを受けることに。ビルドアップでは迎撃で引っ掛けられてカウンターを受け、ボール保持では前川が何度かライン間で受ける場面もあったが5バックと3トップ+両SBの5対5の状態なのでスペースは無い。ということで難しい状態になっていた。

ここまでセレッソのボール保持の場面ばかりを書いてきたが非保持についても簡単に。
普段であれば4-4-2でセットすることの多いセレッソだが、この試合でも前川が1つ前に出て4-4-2になることもあったが4-3-3のまま守備をする場面も多かった。となると普段の4-4が4-3である。
もちろん柿谷と西川は押し込まれれば下がってくる。西川が三丸に対して素晴らしい対応を見せクロスを入れさせずかつマイボールにするという場面もあったが、この3トップとSBの間で起点を作られる場面も。17分の三丸のクロスなどはまさにここから入れたボールだった。

■4-4-2へ

後半開始〜
後半開始からセレッソはヨニッチに代えて瀬古を投入。布陣を4-4-2に変え、CBの左右も庄司が右、瀬古が左という形になる。
まず交代についてだが、これはあらかじめ準備していたものだろう。セレッソのCBはヨニッチ、瀬古、木本、庄司の4枚しかいないが、木本はCHも兼任しておりこの試合ではCHで先発。CB3人で2つのポジションを回す必要があり、リーグ戦でレギュラーのヨニッチと瀬古をできるだけ休ませたい。となるとこの方法しかない。庄司は本来右CBの選手なので前半の左CBはかなり難しかったと思うが人がいないんだからしょうがない。
システム変更は前半の4-3-3が上手くいっていなかったので普段の形に戻したという頃だろう。
WBの背後にブルーノ・メンデスを走らせる
4-4-2になったことで前半の様なマッチアップが噛み合った形ではなくなり、セレッソのビルドアップがスムーズに。2CBと2CHをベースにして柿谷が降りることでビルドアップの出口となり、丸橋に対して高橋峻希が食いついた背後にブルーノ・メンデスを走らせるという形を何度も見せる様になる。
55分〜
さらに55分にはセレッソが3枚替え。木本、前川、ブルーノ・メンデスに代えて藤田、坂元、鈴木を投入。坂元はできれば使いたくなかっただろうがビハインドなのでしょうがない。藤田、鈴木に関してはプレー時間を考えての投入だろう。
坂元が三丸をピン留めする
坂元が入ったことで右サイドも活性化。
大外の開いたポジションからスタートするので三丸はそこでピン留めされてしまい片山が空く。さらにそこから中に入って行くので柏も誰が捕まえるのかがはっきりしなくなる。
59分には坂元の突破を遅れて止めるしかなかった三原がイエローカード。これで得たFKを丸橋が直接狙い、中村がセーブしたこぼれ球を柿谷が詰めようとするも枠には持っていけず。
63分には坂元の得意の突破からの折り返しを鈴木が合わせるもポスト直撃。
セレッソが柏ゴールに迫る場面を増やし始める。
72分〜
そこで柏は66分に戸嶋に代えて仲間、68分にヒシャルジソンに代えて小林、72分に呉屋、三原に代えて細谷、大谷を投入する。
個人的にさすがネルシーニョだなあと思ったのは、ここで戸嶋、三原、ヒシャルジソンという中盤3枚を代えてしまったことである。
もちろん疲労との兼ね合いもあるのだろうが、戸嶋と三原はこの時点で既にイエローカードを受けている。そしてセレッソが4-4-2になってからは遅れてしまってのファールが増えていたので、前節の様に退場者を出してしまう可能性もあったからだ。
75分〜
チャンスを作れる様になっていたセレッソは75分に西川に代えて清武を投入。柿谷がFWへと移動する。
この交代直後に坂元がドリブルで剥がしたところから柿谷へとスルーパス。久々の柿谷の必殺技裏抜けから素晴らしいトラップでシュートまで持っていくも中村航輔がスーパーセーブ。止めた後ガッツポーズを見せた様に本人的にも会心のセーブだっただろう。
さらに79分にはCKから繋いで最後は飛び出した坂元がシュートを放つもこれも中村がセーブ。
試合の結果としては、セレッソはこの2つのビッグチャンスを決められなかったことが全てだろう。逆に言えばこの2つを止めた中村が試合を決めた。

セレッソはどうしても前がかりになるところ坂元のパスがミスになってしまい柏のカウンター。
83分に江坂が決めて0−2となる。
さらに89分にもカウンターから江坂が決めて0-3。
アディショナルタイムには鈴木のシュートをさらに中村がセーブし試合終了。0-3で敗戦となり2020年のルヴァンカップはここで終了することとなった。

■なぜ4-3-3だったのか

終盤の2失点は前がかりになった結果なのでしょうがない。試合を決めたのは0-1の状況で2度の決定機を止められたことであるということも先には書いた。
なのでここで考えたいのはなぜこの試合に4-3-3を使ったかということである。
ロティーナ監督の試合後のコメントでは「ボールをより持つ意図を持って、いつもとは違うシステムで戦いました」とのことだが。

このコメントを文字通り読むと、リーグ戦の対戦時に4-4-2で入ったがほぼボールを持てなかったからということは考えられる。
それ以外に個人的に最初に思ったのが、この試合では松田、デサバト、藤田というビルドアップのキーマン3人が誰1人先発メンバーに入っていなかったからか?というところである。松田と藤田が欠場したルヴァンカップ浦和戦ではデサバトを使ってヨニッチをフリーにしてそこからビルドアップを行おうとしていた。しかしこの試合ではそのデサバトもいない。なのでもう全く別の形でビルドアップをしようとした。という可能性だ。
ただこの2つにおいて疑問となるのが、前半45分間を4-3-3で続けたことである。
後半開始かほぼ同じメンバーで4-4-2に変えたことからもわかる様に、上手くいっていないのであればすぐに4-4-2に戻すことも可能だったはずだ。しかしそれをしなかった。ということは、単にこの試合の中だけでは無い別の要素もあったのではないだろうか。
チームの今後を考えるとここで4-3-3を試したかった。ということである。

その中で思い浮かぶ1つがチーム事情。
現在のチームは単純にCHとCBの枚数が足りない。なので4-3-3である。もしかしたらデサバトは少し時間がかかるということもあるのかもしれない。
そして2トップの人選も課題である。
FWはCHやCBとは異なり枚数自体は足りている。しかしブルーノ・メンデスがここ最近はゴールを決めているものの全体的には思う様な結果を残すことができていない。なので3枚にして厚みを加えようという考えである。

他にも戦術的な部分もあるのかもしれないが、残念ながら現段階ではどう考えてこのやり方を取ったのかは不明。
試合の中も、試合後のコメントでも考え方の詳細まではわからなかったので、どういう考えてのチャレンジだったのは是非知りたいところである。

結果的にチャレンジはうまくいかなかったが、ロティーナやイバンがここでやる必要があると考えチャレンジしたことなので個人的にはそこまでネガティブな感情は持っていない。
もちろんここで敗退してしまうことは残念だが、リーグ戦よりもこの試合の方がチャレンジしやすいというのも理解できる。
今後もこの4-3-3をやるのか、やらないのかはわからないが、ここでチャレンジしたことは是非リーグ戦に活かして欲しいと思う。


6 件のコメント :

  1. お疲れ様です。
    右サイドの坂元、松田がいないためサイドチェンジで右に渡ってもそこからの推進力不足。左サイドを重点的に締められてほぼほぼ何もできない時間が多かった印象です。
    前川、奥埜のボランチ二人はポジショニングと体の向きの悪さで死角からのプレスに簡単にロストやミス、ボランチの位置であれは厳しい。
    庄司は金沢でこそスタメンを張っていましたが大分、セレッソではダメですね。同世代の冨安、町田らが順調に育っている中で、J2以下でしか通用しない選手止まりになりそう。
    前川も、庄司も並の選手かな。明確な武器伸び代があるならともかく、年齢が若いだけで将来性というなら若くて武器も持っている川崎の旗手や三苫みたいな若手を抱えるチームとは差が開く一方ですね。
    4-3-3で普段と違うポジション、タスクでトランジションでも混乱があった様に思います。
    新しいことを試すのは余裕のある時か、リスクを背負って全てを変えないといけないとき。なのでタイトルのために落とせない試合や、過密日程で首位追撃に負けられない状況では簡単にやっちゃいけない。それか、おっしゃる通りカップ戦は捨ててリーグ優勝のために何かを試したのかも知れないと考えるなら、のちの結果に繋がらないといけない。
    そうでなければ、層の薄さを露呈ィーナ…でおしまいですね。

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    1. コメントありがとうございます。
      この試合はまさかの4-3-3でしたからね。
      庄司も本来の右CBならそこそこ出来てたと思いますよ。
      CBでも左右の差は結構大きいものです。

      後、チャレンジするタイミングに関しては僕は全く否定的ではありません。
      余裕のある時なんて今季はないでしょ。

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  2. まとめてしまえば「層が薄い」で済むのかもしれませんけど、より突っ込んで考えると、リーグでスタメンクラスのメンバー以外の戦術理解度の問題ということになる気がします。

    とくに下部組織出身の若手がスタメンクラスに入ってこない理由がそのへんにあるのでは

    もちろん戦術面を教えられるコーチが下部組織にいないのでもう構造的な問題ということになるのかもしれないけど、いまのままでは結局ロティーナ&イバンが直接指導した選手しかメンバーに入ってこれないってことになるのでしょうか。

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    1. コメントありがとうございます。
      下部組織出身の若手というのはU23で出てる(出てた)メンバーからということですかね?
      そうであれば、言い方は悪いですが「こんなもん」だと思いますよ。
      U23の対戦相手を見ても「J1で戦える選手」はそうそういないでしょう。

      「ロティーナ&イバンが直接指導した」というのも、坂元や西川も別のところから来てるわけですしね。

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  3. セレッソと試合するといつも見に来ます。ありがとうございました。

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    1. コメントありがとうございます。
      ありがとうございます。次の対戦でもよろしくお願いします。

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