2020年9月29日火曜日

9/27 明治安田生命J1リーグ第19節 VS. ベガルタ仙台 @ ユアテックスタジアム仙台

スタジアムユアテックスタジアム仙台主審西村 雄一
入場者数2,789人副審堀越 雅弘、赤阪 修
天候 / 気温 / 湿度曇一時雨 / 19℃ / 78%第4の審判員平間 亮

ベガルタ仙台仙台
 
セレッソ大阪C大阪
 
  • 監督
  • 木山 隆之
 
  • 監督
  • ロティーナ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、制限付き
(入場可能数の「50%以下」又は入場可能数が「20
000人以上のスタジアムは30%以下」)での試合開催
※入場可能数や適用時期は主管クラブが決定


<監督コメント>


<選手コメント>


9連戦の最後となる明治安田生命J1リーグ第19節。セレッソ大阪は敵地ユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と対戦し2-3で勝利。一旦は逆転を許す難しい試合を見事に勝ち切った。

■メンバー

ベガルタ仙台の先発メンバーは前節から6人入れ替え。小畑、金正也、飯尾、中原、兵藤、ジャーメイン良が外れ、スウォビィク、シマオ・マテ、道渕、浜崎、椎橋、関口が起用された。道渕に関しては7/26の第7節柏戦以来およそ2ヶ月ぶりの先発となるが、その他の今回戻ってきた選手たちは普段から出場機会の多い選手なので前回休ませた選手たちが戻ってきたと考えて良さそうだ。
ただ、驚いたのはここ2試合使っていた3-4-2-1から4-2-3-1に布陣を戻したこと。試合後の木山監督の会見によるともともと3バックはアウェイ限定で4バックに戻すことは予定通りだったとのことらしい。

一方のセレッソ大阪の先発メンバーは前節から3人入れ替え。丸橋、藤田、清武が外れ、片山、木本、柿谷が起用された。柿谷の先発は9/16に行われた前倒しの第25節神戸戦以来、リーグ戦では今季4度目となる。
先発から外れた清武、藤田はベンチスタートとなっているが、丸橋はベンチ外となり小池がベンチ入り。また負傷で離脱していた豊川が8/1の第8節湘南戦以来、藤尾は9/13の第16節横浜FM戦以来のベンチ入りとなった。

■仙台のプレッシング

立ち上がりから仙台は積極的に前線からのプレッシングを仕掛けてきた。

仙台はボール非保持ではトップ下の関口が1つ前に出て4-4-2になる。そして最初のスタートはCHを背中で消すポジションを取り、ここから目の前の相手に向かってアプローチをかけていく。
プレビューでも書いたが、サイドに誘導するというよりも相手に直接アタックに行く様な形。そういう意味では3バックよりも4バックでマッチアップを合わしている方が都合が良かったのかもしれない。

こういうサイドに誘導というよりも人に直接アタックする形のプレッシングをするチームで一番わかりやすいのは札幌だと思うが、札幌の場合はマンツーマンがベース。なのでマークを受け渡すこともあるが、基本的に相手の動きに対しては自分たちの形はそれほど関係なくついていく。
しかし仙台の場合はマンツーマンとまではいかず自分たちのポジションを取ったときに前にいる選手にアプローチをかけに行くといった感じ。

なのでCHが最終ラインに落ちてそこにボールが入るとボールサイドのSHが出てきてアプローチをかける。となると自分が出てきたSHの背後があくが、そこにはさらにSBが出てきてアプローチをかけにくるという形になっている。

ただ、そうなれば最初に立っている立ち入りである4-4-2の形は崩れてしまうので当然スペースが出てくるし、マンツーマンでもないので相手がそこに入ってくるケースも出てくる。
それに対しては走力でカバー。仙台はCHの2人に加え、自陣にボールを運ばれた時は最初前線に出ていたトップ下の関口も中盤にに戻ってくるので、この中央の3人の走力を中心にカバーする。

とはいえバランスを崩している以上当然スペースがあるので、セレッソはそこを使ってボールを運ぶ。立ち上がり10分ぐらいまではセレッソがビルドアップから仙台陣内に入るという場面が多かった。

しかし徐々に仙台が前線からの人にアタックするプレスでボールを引っ掛けショートカウンターを仕掛ける場面増えていく。
7分に木本がデサバトに戻したパスが中途半端になった場面などはその典型だろう。以前にも書いたが、木本は藤田に比べるとビルドアップの時の身体の向きがまだまだなので激しくプレスを受けるとどうしても危ない場面が出てくる。
身体の向きをしっかり作ることが出来ていればプレスを外す(=逆サイドにボールを展開する)ことができそうな場面も多かったので、以前も書いた様に今後もCH起用を続けるのならこのあたりは課題だろう。この課題さえクリアできれば対人、空中戦の強さは他のCHにはない武器だし、何気に得点力もあるのでチームにとってかなり大きな底上げになる。

そして仙台のこの人にアタックするプレッシングは、前節も前半の早い時間帯は横浜FMを苦しめていた様に、「試合の立ち上がりに関しては」武器になっていると言えるだろう。特に仙台の選手は誰もサボることなく繰り返すので相手にすれば結構面倒なのだ。
実際にそれはデータにも現れていて、仙台はこの試合も含めてここまで35失点とリーグで失点が4番目に多いチームだが、前半30分までの失点数は6しかなく仙台よりも少ないのはセレッソ(1失点)柏(3失点)川崎F(5失点)の3チームだけである。
ただ武器になっているのはあくまで「試合の立ち上がりに関して」である。

■縦に速く攻める仙台

仙台のボール保持に関して特徴的だったのは、縦に速くボールを入れる意識が前回対戦時よりも高くなっていたことだろう。
中継では「セレッソの守備は堅いので、組織ができる前に攻めたい」というニュアンスのことが言われていた。
しかし、もちろんそれもあるのだろうが、実際に効果があったのはサイドが孤立する場面が少なかったということではないだろうか。
以前の仙台はWGが両サイドの高い位置に開いているのだが、そこまでの距離が遠くどうしても孤立してしまっているので「個人技でどうにかして」という状態になりがちだった。もちろんそういう状態であっても「個人技でどうにかできる」選手がそこにいるなら問題ないが、仙台の場合そうではない。

縦に速く攻めることで、仙台の両サイドはスタートポジションこそ大外だが、そこから中に向かって斜めに入ってくる場面が多かった。そしてこれでスローダウンさせられると、内側に入っている分、その外側に柳とパラの両SBが出てくる。
セレッソの守備が崩されている訳ではないので、仙台が「決定的なチャンス」を作っていた訳でないが、ペナルティエリア周辺までボールを運び、ペナルティエリアの中にボールを入れる場面もあったのでまずまずといったところか。

22分に松田のグラウンダークロスから奥埜が合わせるも上に外した場面は決まっていてもおかしくない決定機だったが、30分ごろまでの試合展開としては互角と言っていい状態だったんじゃないかと思う。

■セレッソの3バック化


前半の飲水タイムのすこし後ぐらいから、セレッソは主に木本が最終ラインに下がる3バック化を見せる様になる。
対4-4-2の場合相手の2トップが中央を消してきたときにその2トップの脇を取るために3バック化しCBがドリブルで運ぶという対応をすることはあるが、この試合の仙台は2トップが背中でCHを消す様なポジションからスタートし、さらにそこからボールを取りに来るのでそれを外せば2トップの脇や裏にボールを運ぶことができる。なので3バック化する必要がなかった。
そんな中3バック化を見せる様になったのはいくつかの理由が考えられる。
1つはビルドアップの時の木本の身体の向きが怪しく引っ掛けられる場面もあったこと。最終ラインに下がれば360度相手からのプレッシャーを受ける可能性がある中盤よりも身体の向きが問題になる場面が格段に減る。それを踏まえて木本が下がる場面が多かったのではないかと思われる。
もう1つは3バック化することで相手のSHを食いつかせることができることを確認したからだろう。
食いつかせることでSHが元いた場所を使ってボールを運ぶことができる。
ということでセレッソは3バックで相手のSHを引き出し、左サイドでは片山、右サイドでは松田や坂元の大外にボールをつける形でボールを運ぶ場面が増える。

ここに出ればSBが食いついてくるのでその背後を奥埜や柿谷で狙える。また右サイドでは坂元が幅を取り松田が内に入ることもあるので、内側の松田にボールをつけ、そこから左サイドの柿谷へ長いボールを入れるという形も見られた。
こうしてセレッソがサイドでボールを運ぶ場面を増やしていった。

先制点も3バック化ではなかったが、そんなサイドでボールを運んだ場面から。
ヨニッチから片山へのサイドチェンジが入り片山は前のスペースに柿谷を走らせるパスを出す。
そこで受けた柿谷がダイレクトで左足のクロスを入れるとニアで合わせたのがブルーノ・メンデス。44分にセレッソが先制する。

この場面は速攻でもなんでもなく、サイドチェンジから縦に出してクロスという比較的単純な形なのに仙台の守備が後追いの様になってしまっているのが印象的だった。

■連戦で蓄積された疲労

両チーム交代なしで後半開始。
仙台は前半同様にプレッシング。セレッソがボールを保持しながら試合をコントロールしようという展開で進んでいくかと思われた。
しかし57分仙台が同点に追いつく。パラからのクロスを西村が合わせてゴール1-1の同点となった。

この失点シーンは今季最も準備できていた状態から始まった失点ではなかっただろうか。セレッソは4-4-2のブロックをきちんと作れていた。
そんな中、平岡からSHーCH間にいるパラに縦パスが入る。そしてパラすこしドリブルで運びクロス。西村が完全にフリーになっていた。
西村がフリーになった直接的な要因はヨニッチと瀬古が共に中途半端なポジショニングになってしまったことだろう。ヨニッチがポジションを取れていないので瀬古も絞れなかった。
またパラに対して、松田もデサバトも誰も寄せられなかった。どちらもできていなければこうなる。
なので種類としては戦術的なエラー。ただ、まあ9連戦の最後の試合。9月に入って一度もオフがない状態で戦っているのでそうなることもあるだろう。

そしてさらに65分。浜崎から背後を狙う西村へパス。このパスをヨニッチが対応しようとするも中途半端になり西村の前に。松田がなんとかカバーして対応するも最後はスライディングした後に身体で西村に当たりにいってしまいPKを取られる。
この場面は中盤の4枚が柿谷と木本の左、坂元とデサバトの右で全く違う動きになっている。なので真ん中にいる浜崎は前を向いて縦パスを狙うだけの時間と空間が十分にあった。それに気がついた奥埜が慌てて戻るも間に合わなかった。これも戦術的なエラーである。
そしてさらにヨニッチの対応も中途半端。松田はその尻拭いをさせられる形になった。
瀬古が戻っていたので松田はわざわざ身体を当てなくてもクリアできたと思うが、松田にしてみたら当然そんな余裕はないだろう。
以前にも書いたが、疲れている時は走れないとかそういったことよりも集中力の部分で問題が出やすい。
このPKを西村本人が決めて2-1。仙台が逆転に成功する。

■試合は終わらない


失点直後の68分、セレッソは奥埜と柿谷に代えて豊川と清武を投入。

そして74分には仙台がゲデスに代えて長沢を投入。78分にセレッソは松田と木本に代えて小池と藤田を投入。片山が右SBに回り、小池は左SBに入る。

逆転を許したセレッソだったが、ここまでの試合の動きを見ているとこのまま終わる感じはなかった。
シュートは枠を外していたものの、同点ゴールを決められた後もセレッソは柿谷のドライブから坂元がシュートまで持ち込んでいたし、逆転された後も前半の途中から見せていたサイドで食いつかせて縦に運ぶ形を見せることができていたからだった。
これは仙台は同点に追いついても守備のやり方を変えなかったし、逆転してもベースは同じ。人にアタックに行く守備を続けていたからだった。
人にアタックに行く守備は「試合の立ち上がりに関しては」武器になっているが、それをカバーしているのは走力である。しかし時間の経過とともにカバーしきれなくなる部分が出てくる。
そうなった場合に、例えばブロックを下げて守るエリアを狭くするという方法もあるが、仙台はそれをやらない。なのでセレッソはカバーしきれないスペースを使ってボールを運んで行く。
前半2本だけだったセレッソのCKが後半は6本。深いところまでセレッソがボールを運ぶことができる様になっていたことがわかる。

そして81分にそのCKからセレッソが同点に追いつく。清武のCKをヨニッチが頭で合わせてゴール。2-2となる。

同点に追いつかれたことで仙台は3枚替え。パラ、椎橋、関口に代えて石原、兵藤、真瀬を投入。
時間帯や状況、相手の出方によっての変化が見えにくいのでよくわからないが、87分に前に出たところで坂元に裏返されてカウンターを受けたり、88分には高い位置までプレッシャーをかけにいったところでキム・ジンヒョンから清武に縦パスが入り左サイドでセレッソが一気にボールを運んでいるので、この交代はホーム初勝利に向けてどうしてももう1点という狙いだったんだろう。

90+1分、セレッソが清武の鮮やかなゴールで逆転に成功する。
ペナルティエリアの角からファーサイドの角へと巻く様に狙ったシュートがゴールネットに突き刺さった。

この場面、シュートは今節のベストゴールの有力候補になるほど素晴らしいものだったが、そこまでの流れはセレッソにとって狙い通りの形である。
瀬古から藤田に入ったところで真瀬がアプローチに来る。すると藤田はサイドに開く小池にパス。小池に入ったところで右SBの柳が出てくる。この柳の動きを見た清武が左サイドの奥に。1つずつ引っ張り出してその背後をとった形である。
清武に背後を取られた柳は慌てて戻るもそこで清武が切り返し。これでシュートを狙う時間と空間ができたのだ。

この場面について木山監督は試合後の会見で「当然時間が経っていくうちに、われわれの後ろの選手に疲労度がたまっていくし、その中でフレッシュな選手が力を持って入ってきたときに、前半だったら寄せ切れているところとかが少し寄せ切れなくなるとか、…」と語っているがまさにその通りだろう。
この時間帯でずらされて2度追いさせられた時点で柳の状況はかなり苦しい。
もちろん清武のゴールはスペシャルだったが、ピッチ上ではこうなっても不思議ではない状況が続いていた。

セレッソは90+3分にブルーノ・メンデスに代えて藤尾を投入しそのまま試合終了。
思わぬ打ち合いとなったが2-3でセレッソ大阪がベガルタ仙台を下し、セレッソの連敗は2でストップとなった。

■その他

前半から内容的には悪くはない試合をしていたが、ミスが多かったり、エラーで逆転されたりと流石に9連戦のキツさを感じさせる試合だった。
そんな苦しい試合でも、相手の穴を突き、選手のクオリティを発揮し、終盤に一気に逆転まで持っていけたのは勝ち点面はもちろん、チームのムードも上向く素晴らしい勝利だったと思う。
もうここから先はミッドウィークに試合が入る連戦は3回だけ。スケジュール面では少し楽になりそうだ。
前節までの連敗で首位川崎Fとの差は11となっているが、目の前の1試合ずつを戦っていくしかない。
まずは次節の直接対決。今度は1週間の準備期間があるので、戦術的にも、体力的にも、メンタル的にもしっかりと準備して挑みたいところだ。

そして仙台、今季はかなり苦しいシーズンとなっている。
直接対戦した3回と、その前に見たいくつかの試合の印象でしかないが、守るエリアがめちゃくちゃ広い様に感じた。
プレビューで「ボールのとりどころ」について少し触れたが、基本的にはそれと同じ話。どこでボールを取るというよりも、全部の場面でボールを取りにくる。撤退守備の強度に不安があるのかもしれないが、広いエリアを90分間カバーし続けるのは流石に大変そう。
前半は拮抗した試合でも、後半に失点を重ねてしまうのはそのあたりに要因があるんじゃないのかな?と感じた。が、仙台をずっと見ているわけじゃないので単なる印象です。


4 件のコメント :

  1. 柿谷のアシストからブルーノのゴール、
    セットプレーからヨニッチの初モノ、
    そしてエース清武のゴラッソ。
    いつもこんな感じならなにも文句ないのにな(失点は誤審もあるし仕方ない)、
    と思うようなゲームでしたね。

    ブルーノのFWとしての評価ってすごく難しい…

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    1. コメントありがとうございます。
      得点シーンはみんなよかったですよね(笑)
      ブルーノ・メンデスはいい選手だと思いますよ。守備も頑張りますし、攻撃の起点にもなるし。
      ただ、得点王を争うほど沢山点を取れる選手ではないんですよね。

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  2. おつかれさまです。
    今回は珍しく先制して逆転されてからの逆転勝ちという形でしたね。
    粘り強さが出てきたのかなと。
    木本の体の向きの件ですが、3年前ぐらいから向きの悪さなのかあまり顔振らないからなのか、オフの動きが良い選手にスルッとマークを外される場面がよく見られていて心配していたので、ある意味癖なんでしょうね。
    天皇杯決勝で伊藤翔(マリノス)にゴール決められたシーンなんかもそんな感じだった気がします。
    次からは休養しっかりとってか判断が鈍らないようにできるので、コツコツ勝ちを積み重ねていってほしいですね。

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    1. コメントありがとうございます。
      逆転することもされることも珍しいのに、逆転されてさらに再逆転は相当レアですね(笑)
      木本の身体の向きですが、守備の面も確かにありますが、ここでいう身体の向きはボールを受ける時の姿勢のことなので周りを見えているかどうかとは少し違うんですよね。
      身体の向きを作れているのに相手のプレッシャーを受けるのであれば、それはパスを出した方の問題でもありますし。
      プレッシャーの程度にかかわらずボールを受ける時の身体の向きによってプレーの選択肢が大きく変わってきます。その辺りがまだ藤田・デサバトに比べると木本は弱いんですよね。
      まあ藤田・デサバトが上手いと言えばそれまでなんですけど(笑)

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